大和屋 巌 遺作展

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絵:馬車のころ
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題名
馬車のころ
大きさ
60号
2000

第88回日本水彩展出品
みかさモダンアートミュージアム所蔵

故郷のポンポロナイ炭鉱を思い出して描いた作品
現在の三笠市幌内(夕張炭鉱近く)

「馬車のころ」
今回はほとんど色彩は使わずに、モノトーンの中でそれぞれのディテールを的確に表現したために、かえって詩情というか、情感というか、ノスタルジックな、懐かしい雰囲気が画面に漂っている。奥の三頭の馬の位置と手前の大きく描かれた馬の曳く車と人間の弧を描くようなリズムが何か懐かしい。弧状のムーヴマンをつくることによって、その中心にあるアンティームな気配が出ている。画家の青年時代に見た記憶というものがこの画面の中に甦って、生活と風土が重なった不思議な、言ってみれば記憶によって濾過された情景が浮かび上がってくる。(高山 淳)
『2001年版 現代日本の美術』(生活の友社)

【作者のことば】
昭和12年私が教師として赴任した所は北海道の炭鉱町。木造の大きな洗炭場があり、運搬の動力は馬力であった。唐松という駅の前はこのような風景だった。