大和屋 巌 遺作展

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絵:アンモナイトの仙石
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題名
アンモナイトの仙石
大きさ
60号
2009年

第97回日本水彩展出品

「アンモナイトの仙石」
 アンモナイトの化石がいくつも表現されている。大きいものは勾玉を思わせる。そのあいだに生まれたばかりの子供が置かれる。それは実は画家自身の誕生の写真から取ったものである。誕生というものをここで画家は祝福する。アンモナイトは長い長い歳月のメタファーである。つまり、歴史の連綿と続くなかにいま誕生の一刻、その祝祭をこのように表現した。とくに生まれた子供のかたちがよい。しっかりとした表現で、どこか釈迦や太子の誕生の図を思わせるところがある。また、大小のアンモナイトのいろいろなフォルムが入れられて、とくに上方のアンモナイトは太陽のメタファーとしてあらわれているように感じられる。形象が様々な寓意性を背後に背負いながら、大きく構成されて、その中にいま生まれた赤子のイメージがピュアに描かれる。(高山 淳)
『2010年版 現代日本の美術』(生活の友社)