大和屋 巌 遺作展

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絵:ワヤン人形のある部屋
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題名
ワヤン人形のある部屋
大きさ
60号
2005年

第93回日本水彩展出品

「ワヤン人形のある部屋」
 ワヤン人形は、インドネシアのジャワ島を中心に発達した演劇に使われる人形である。その人形が背後に二体描かれ、会話するようだ。またレースのカーテンをバックにして、独特の影絵のような効果をもたらしている。手前のベッドに、インドネシアの衣装をつけた若い女性が座ってポーズをしている。この女性の右背後にも、ワヤン人形が置かれている。ジャワの風俗や人形、楽器等によって、独特の空間を作りだしている。ジャワの音楽がバックグラウンドミュージックとして流れてくるようだ。それが色彩豊かなベッドのストライプ模様にも反映されている。この女性は、生きた肉体のもつ現存感とその匂いさえも漂ってくるような、しっかりとしたフォルムで把握されている。 二体の会話する人形の姿は、画家の心のなかに浮かぶ会話を反映しているようにも思う。そのような会話と、未来を望む女性の現存感とが不思議な対照を見せている。(高山 淳)
『2006年版 現代日本の美術』(生活の友社)