大和屋 巌 遺作展

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絵:日本橋の麒麟
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題名
日本橋の麒麟
大きさ
60号
2002

90周年記念日本水彩展出品

「日本橋の麒麟」
 高速道路がないころの日本橋をよく知っている画家は、それを取り払って本来の日本橋の風景を描いた。そのころの着物姿の女性といまの洋装の女性とを対比させているのも、二つの時間を描いているという意識が画家にあるせいだろう。それぞれのディテールはくっきりと表現されている。しかし説明的ではなく、一つのあるシーンがしっかりと定着されている。その意味ではこの画家は、常に時代の証言者たらんと欲しているようだ。
 背後の林立するビルの垂直線の動き。垂直、水平の軸を巧みに交差させながら、画家は時間の中を旅しているようだ。(高山 淳)
『2003年版 現代日本の美術』(生活の友社)