大和屋 巌 遺作展

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絵:書斎の男
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題名
書斎の男
大きさ
60号
1993年

第81回日本水彩展出品

モデルは弟、故大和屋竺(あつし)1937.6-1993.1
早稲田大学卒業後、日活の助監督を経て独立、シナリオライターとなる
食道癌で夭逝
中央右に明るく目立つのは、遺作となったロシアとの合作映画「オーロラの下で」のシナリオ

「書斎の男」
室内の人間
モデルは大和屋さんの亡くなった弟さんであるそうだ。弟さんはシナリオライターであった。たくさんの本のある書斎のテーブルに左腕をついて坐っている。仄明るい不思議な光が画面に満ちている。男の右手に蛍光灯のスタンドがあるが、そこからこの光は放射していない。むしろその光は画家の心から放射しているという表現の方が適切だろう。旋回するような構図になっていてその中心にこの男がいる。
丹念にディテールがとらえられている。特に手の表情が素晴らしい。水彩画の作品はどちらかというと説明的になりがちであるが、ここには存在するものの不思議が描かれている。人間がそこにいるということをじっくり描き込んでいる。
「美術の窓」(生活の友社)/1995年10月号